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メモ程度

秋の夜長、夜空の星を眺めながら、最近の宇宙論の事など。

秋の夜長は読書とブログ

いま自分の最大の関心事の一つは、この宇宙はどうなっているか、です。

きっかけは、2年前話題になった村山斉氏の本『宇宙は本当にひとつなのか』で、「ダークマター」「ダークエネルギー」のことを知ったからです。

宇宙は本当にひとつなのか―最新宇宙論入門 (ブルーバックス)

宇宙は本当にひとつなのか―最新宇宙論入門 (ブルーバックス)

 

 本書によると、この宇宙は、我々の知っている物質(=原子)からできているものは、せいぜい5%で、残りの95%は、「なんだかわからないもの」からできているのだそうです。

「なんだかわからない」から、とりあえず「ダークマター暗黒物質)」とか「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」と呼んでいるのだとか。

 

これには驚きました。

えっ?!物理学とか宇宙論って、長年の研究で、物質や宇宙の究極の姿が、かなり解ってきたんじゃなかったの?

それがここへきて、「いやー、宇宙って、ほとんど何かわからんモノでできてんですよ」と言うのか?!この宇宙って、実はなーんも、わかってなかったのか?!

.... というふうに感じて、唖然としてしまったのです。

 

宇宙論とか素粒子論は、もともとSFファンだったこともあり、以前から関心がありました。なかでも、グレッグ・イーガンのSF小説『万物理論』には、この宇宙の成り立ちを解き明かす究極の理論=万物理論、が登場します。

万物理論 (創元SF文庫)

万物理論 (創元SF文庫)

 

 最初読んだとき、この「万物理論」てのは、てっきりイーガンのSF的創作だと思ってたんですが、その後、この理論は実在の理論であり、物理学者が真面目に研究している本当の学説である事を知り、ビックリしました。

実際に研究されているのは、「超ひも理論」という理論で、これが物質や宇宙の成り立ちを説明する、万物理論(=TOE: Theory Of Everything)の最有力候補らしいです。

これがきっかけで、超ひも理論を中心に、素粒子論や宇宙論の本をいろいろ読みあさりました。

 

まず読んだのが、超ひも理論の研究者による著作『エレガントな宇宙』でした。

エレガントな宇宙―超ひも理論がすべてを解明する

エレガントな宇宙―超ひも理論がすべてを解明する

 

 この本では、相対性理論量子力学の話から始まって、物質を構成する素粒子について説明されています。

素粒子は、これまで一般的に、電子やクォークなどが最小単位と知られていますが、超ひも理論では、それが「ひも」であること、「ひも」の振動の仕方で、いろんな素粒子が現れる事が述べられています。

さらに、この宇宙の空間の次元は、我々が知るような3次元ではなく、9次元が必要になるなる事など、直感ではちょっと理解しがたい話が続き、いままでの宇宙観がひっくり返される事必至です。

 

また、最新の書籍『大栗先生の超弦理論入門』では、「空間は幻想である」とまで言っています。

大栗先生の超弦理論入門 (ブルーバックス)

大栗先生の超弦理論入門 (ブルーバックス)

 

 超ひも理論では、空間の次元は3次元ではなく9次元といっていましたが、更に研究を進めた結果、ある条件のもとでは、これが更に10次元の別の理論になるとか。

こうなると、「空間が○○次元である」というのは、絶対的な意味を持つものではないく、何かもっと別の本質的な「なにか」(としか言えない?)が、たまたま「空間の次元」として立ち現れているだけ、と理解される(らしいです.....)。

なんだか、途方も無いビジョンで、自分はまだよくイメージできていませんが。。。

 

さらに追い討ちをかけるような話ですが、最近の宇宙論の最前線では、自分みたいな素人はびっくりするような、突飛な話がマジメに議論されているようです。

最近読んだ『宇宙はなぜこのような宇宙なのか』も、そのような一冊でした。

 超ひも理論の延長上に、宇宙は我々の住んでいるこの宇宙だけでなく無数にあるという、「多次元宇宙」の学説があり、そして、そのなかで、我々が今住んでいるこの宇宙は、なぜこのような宇宙なのかを説明する「人間原理」という学説があるそうです。

人間原理というのは、「我々人間が存在するように、この宇宙は、この姿になっている」というような考え方のようです。(ちょっと正しい理解じゃないかも...)

これはマジメな科学なのか?と思ってしまいますが、今までの考えでは、とうてい当てはまらないようなこんな話がマジメに科学者の間で議論されている事自体、いま科学の、ある意味変革期なのではないか、と感じます。

 

上記のような話題で、宇宙論や素粒子論の界隈が、近年にわかにホットになっていると感じます。つい先日ノーベル賞を受賞したヒッグス粒子の件も、これに先立つ重要な発見でしょう。

この宇宙(だけでなく、多次元宇宙になるのかな?)が、どのようなものか、今後の研究の動向に注目していきたいと思います。